信濃の国からこんにちは

三崎隆です。私たちは『学び合い』(二重括弧の学び合い)の考え方を大切にしています。

伝わらない

 自分の言いたいことを相手に伝えることはなかなか難しいことです。

 そんなことは,言われるまでもなく分かっていると言われそうですが,それでも伝わっていると思っていても後から伝わっていないことが分かると,それを痛感します。

 また,はじめてなので分からないために問い合わせているのですが,それも「はじめてなので...」と断っているにもかかわらず,相手はいいたいことだけを言ってこちらがわかっていようがいまいが同じことを繰り返されてしまう経験をすると,それを痛感します。それを我々は自動化と呼んでいます。

 分かっている人間にとっては,今自分が言っている内容は当たり前のことなので,その当たり前のことに至るまでの経緯を話さなくても当然相手は分かるだろうと思っていて話をしているだけに,事がやっかいなのです。聞いている人間は初めて聞くのですから,わからなくて当たり前です。話し手は分かって当たり前だと思って話していて,聞き手は分からなくて当たり前と思って聞いているのですから,ズレが生じるのは当然,そう当たり前なのです。

 分からない相手が何が分からないのか,はじめての相手はどこでつまずくのかなにが知りたいのかを把握した上で,それに対応した内容の語りが求められます。特に,はじめての相手に対しては,です。

 相手の気持ちになって,というのは良くいわれることですが,実際にやってみると極めて難しいことがよく分かります。

 『学び合い』の考え方は,それを全員に求めます。ここでいうところの全員に求める「それ」は,私にはよく分かっているので省略して代名詞を使うのですが,おそらく初めての人にとっては分からないのかもしれません。

 伝わる側と伝えられる側とのズレがここにも生じます。