信濃の国からこんにちは

三崎隆です。私たちは『学び合い』(二重括弧の学び合い)の考え方を大切にしています。

トライ・アンド・エラー

 これまでの自分自身の人生をリフレクションしてみると,答えなど一つもなかった道のりです。何が正解であったのか全く分からず,その都度,自分自身でそのときにベターであろう道を判断して行動してきた結果が今に至っています。三崎さんの判断が一番正しいと思います,とは言われてきましたのでおそらくそうであったのであろうと思われます。
 その過程においては,トライ・アンド・エラーの繰り返しです。何が正解なのか分からない選択肢ばかりなのですから,結果が良ければそのトライは良かったのですし,結果が求めているものでなければそのトライはエラーを起こしていることになります。結果が良ければ,何が良かったのかを自分なりにあるいは誰かと一緒に協働的にリフレクションをして,良い結果をもう一度導くことができるようにまたトライします。
 結果が求めているものでないのであれば,なぜそうであったのかをリフレクションして自己分析します。結果を出している団体ないしは個人に尋ねても,納得できる理由は帰ってきません。大概が,総合的な判断です,と。エラーを起こしたからと言って,そこで断念することはなく,また新たなトライをします。またダメならば,三度トライします。まさに,トライ・アンド・エラーの繰り返しです。
 さて,学校教育ではどうでしょうか?
 日本の学校教育の場合,トライしたらサクセスしかないのではないでしょうか?トライしたらサクセスするのが当たり前であって,エラーを起こすことを想定していないのではないかとも思えて仕方がない場面が数多くあります。トライしてエラーを起こしたら,途端に機能しなくなることが多くあるからです。なぜ,できないの?と。トライして6割の子どもたちがサクセスしたら,そのサクセスした6割の子どもたちの結果を基に教育活動が先に進むことが散見されます。トライしてエラーを起こした途端につまずきます。一生に1回の授業でトライしたらエラーを起こさないように,その本番の授業までに何回もトライしてエラーを起こさないようにして授業に臨みます。
 教室は間違えるところだと言われることがあります。学校の授業ではトライしてもサクセスできずに,エラーを起こしてもいいんだよと言ってあげたいものです。『学び合い』の考え方では,授業の時にはトライしてエラーを起こしてもいいんだよ,と子どもたちと共有します。だって,人生はトライ・アンド・エラーの繰り返しなんですから。子どもたちは,安心してトライしてエラーを起こします。エラーを起こしたら,一緒にやろうと言ってもらえる仲間たちが周りにいますから,何度でもトライ・アンド・エラーができる環境が整っています。間違えたっていいんだよ,またトライすればいいんだから,今度は一緒にやろう,と。
 トライしたらエラーを起こすのは当たり前だ,という文化を『学び合い』の考え方は創っています。