信濃の国からこんにちは

三崎隆です。私たちは『学び合い』(二重括弧の学び合い)の考え方を大切にしています。

やる気は社会的文脈に左右される

 私たちのやる気というのは社会的な文脈に依存していることが知られています。落ち込んでしまったときにはなかなかやる気になりませんし,嬉しいことや満足充実したときには俄然がんばってやってみようかと思うようになる経験は誰しも持っているのではないでしょうか。
 私が中学生であった50年前,部活動のときに友達がミスしたときには「ドンマイ!」(Don't mind)と声を掛け合ったものです。自分がミスしてしまったときには,友達がそれも一人ではなく何人もの友達からドンマイと声をかけてもらったものです。それが部活動にとどまらず,授業の時にもそのような文化が育っていたことを思い出します。
 当時は,社会的文脈とか文脈依存性とか知るよしもなかったですが,今振り返って考えてみると,先輩から受け継いだ文化であり,自分たちなりに生きる術を工夫していたのかなあと思います。集団としてより良い文化を創っていく上で,生き延びていくために獲得した生活の知恵なのかもしれません。
 今ではなかなかドンマイなどと声を掛け合う年代でないこともあって,使う言葉でなくなってしまいましたが,ミスしたときは落ち込むものですから,そのようなときに,ドンマイと声かけ合ったり一緒にやろうよと励まし合ったりできる集団の文化は素晴らしいことであると実感します。嬉しいときや満足充実しているときには誰しもやる気に満ちるでしょうから,そうでないときの社会的な集団のあり方がその後のやる気を左右するものと考えられます。