見ず知らずの方であったとしても，その方の何気ない所作に元気をもらい，勇気づけられることがあります。その方は，ごく当たり前のこととして考え判断して行動していることであろうと思われるだけに，より一層そのような思いを抱くことがあるようです。特段，見返りを求めているものでもなく，それが当然と思っているかのように，された側は思えるからです。
先日，自動ドアではない入り口を通ろうとしたときに，ある学生の方がドアに手を添えて私が通りやすいように支えてくれたことがありました。ほんの一瞬に出来事ですが，立ち止まって私が通り抜けるまでじっと戸を支えて待ってくれているのです。ここにもそのような心遣いをしてくれる方がいるのか，と有り難く，また嬉しく思いました。日本だけかもし
れませんが，素晴らしい文化であると思います。その方には何もメリットはないのでしょうが，何気なくされた行為によって感得できた記憶はずっと残り，次は自分がしてあげたいと思うモチベーションにつながります。バトンを渡す感覚かもしれません。不思議なものです。こちらが何も期待しておらず先方が見返りを何も期待せず何気なくされる行為に心から感謝します。
