信濃の国からこんにちは

三崎隆です。私たちは『学び合い』(二重括弧の学び合い)の考え方を大切にしています。

何回でもやり直せばいいだけなんだから

 日本の学校教育においては,授業ではトライしたらエラーを起こすこと,教師が期待する答えではない答えが出てしまうこと,期待されない結果や考えを出すことは認められない文化があります。認められないというと語弊があるかもしれませんが,認めてもらいにくい,取り上げてもらえない,そのまま見過ごされてしまわれやすい,扱ってもらいにくい,と表現した方が無難かもしれません。
 学習指導案によって単位時間,45分なり50分なりの企画が綿密に立てられ,その計画に従って展開を図ることが求められているのですから,致し方ないことなのかもしれません。子どもたちが授業中にエラーを起こさないための手立ては,予習をしてくることです。しかしながら,予習をしたとしても自らの力だけでは解決できない場合にはエラーの解消はおぼつきません。日本の学校教育においては,エラーを起こさない展開によって日々の授業が進んでいきます。
 考えてみてください。
 私たちは,はじめてのことに挑戦するときに,1回目から1回もエラーを起こさずに事を成すこと,目標を達成することができるでしょうか?偶然にそのようなこともあり得るでしょうが,同じことをもう一度やったときにエラーを起こさずに同じことを成し遂げることができるでしょうか?万人の誰もが?いつでも?どんなときでも?
 『学び合い』の考え方は,その点のパラダイムの転換を図るのです。
 授業の時は,エラーを起こして当たり前なのだという文化を創ります。誰もがいつでもエラーを起こすようになれば,それが当たり前になります。エラーを起こさずに毎回いつでもどんなときでも成し遂げてしまう方が当たり前ではなくなります。誰もが初めてのことに毎回挑戦しているのですから,エラーを起こして当たり前のはずなのに,です。
「考えたことをやってみようよ。遠慮しなくていいんだよ。」
「失敗したっていいんだよ。何回でもやり直せばいいだけなんだから。そんなことはぜんぜん恥ずかしいことではないんだ。人生はエラーの連続だから。」
 挑戦してみたことが先生の期待通りでなかったとしてもいいじゃないですか。どうしてそうなったのかを考えて,もう一度挑戦してみればいいだけのことなんですから。ゴールに辿り着くまでのアプローチにおいては,何度でもエラーを起こしてもそれは当たり前のことです。最終的にみんながゴールに辿り着いていればいいだけなんですから。
「何度でもやってみようよ。」
「どうしたらいいかを考えて挑戦してみていいんだよ。」
「どうすればいいのかの答えはあなただけが知っているんだから。」
「最後にみんながゴール・インしていればいいんだから。」
トライ・アンド・エラーを起こしてはならないという,今の日本の学校教育のパラダイムを転換してみませんか?