信濃の国からこんにちは

三崎隆です。私たちは『学び合い』(二重括弧の学び合い)の考え方を大切にしています。

定性的と定量的

 理科の授業を構想するときに,定性的なアプローチにするか定量的なアプローチにするかを考えます。小学校における理科の授業は定性的なアプローチです。数値は出てきますが,その単位までは扱いません。
 たとえば,第4学年の電気の働きの単元で,電流の大きさを検流計で計測する試みがありますが,検流計の指針から「1」とか「2」の数値を読み取って事実として記録しますが,その数値の単位は扱わないので,その数値がどれだけの意味を持つのかは全く知るよしもありません。ただ,単純に大きいか小さいか,強いか弱いかを扱うだけです。定性的です。
 理科ではよく,五感を使って観察しましょう,という指導が行われますが,五感を使う観察も定性的でしかありません。
 仮に,においをかいで調べましょうと言われたらそれは定性的でしかありませんが,そこに臭度計CIAQによるデータが加わったとしたら定量的なアプローチが可能になります。しかしながら,小学校及び中学校で臭度計CIAQを扱うことは皆無です。したがって,五感を使って観察しましょうというのは初等教育の話です。
 五感を使った定量的な観察,実験にするならば,においは臭度計CIAQ,触覚は硬度計,味覚は糖度計,聴覚は音量dBや音階(周波数),そして視覚なら色(RGB)・質量(kg)・長さ(m)・体積(m3)・密度(g/cm3),温度(℃・K),時間(年・時),相対値(%),光(LM),照度(LX),光度(cd),輝度(cd/m2),力(N)による数値が必要です。
 理科の場合,事実というのは数値で表されるものだけです。中学校,高等学校で学ぶ場合,定量的な観察,実験が求められます。