信濃の国からこんにちは

三崎隆です。私たちは『学び合い』(二重括弧の学び合い)の考え方を大切にしています。

異なる興味・関心

 本学部理科教育コース第55回卒業研究発表会1日目でした。ご存じの通り,理科は物理,化学,生物,地学と内容が多岐にわたっている上に,理科教育が加わって多様な内容が盛りだくさんのオンライン発表です。理科は内容教科だと言われる所以です。4領域も内容が分かれているので,興味・関心は人それぞれです。昨日は1年生から4年生まで100名近くの学生のみなさんがオンラインで参加してくれましたが,物理の内容の発表の時に質問してくれる学生のみなさんと地学のときに質問してくれる学生のみなさんは異なっています。違っていていいのです。だからいいのです。
 私にとって興味のある領域が隣の人の興味のある領域とは違います。もちろん,同じこともありますが,違うことが当たり前です。そう,違っていて当たり前なんです。私にもちんぷんかんぷんの内容の発表の時には黙って聞いていますが,興味津々に聞くことのできる内容は質問しようと手を挙げます。
 私もそうですが,授業を受けてくれる子どもたちに興味・関心を持ってもらおうと思って,いろいろ工夫しますが,考えてみればその工夫というのは教師の思いのこもった工夫であってそれはまさに教師による興味・関心なのではないでしょうか。教師による興味・関心が子どもたちの興味・関心と一致することはまずありません。一概に,”子どもたち”と複数形で表現しますが,子どもたちは40人いますから,40通りの興味・関心があるはずです。40通りの興味・関心に1人の教師の興味・関心を示しても,合致するのは1人2人かもしれません。多様な興味・関心をもつ構成員のいる集団で全員の興味・関心を喚起することは極めて難しいことです。

 40通りの多様な興味・関心,子どもたちに任せてみてはいかがでしょうか。彼らは力を持ってます。彼らのもつ力によって,興味・関心は教師が心配することなく高まっていきます。