信濃の国からこんにちは

三崎隆です。私たちは『学び合い』(二重括弧の学び合い)の考え方を大切にしています。

1+1はいくつですか?

 「1+1はいくつですか?」と聞かれたらあなたはどう答えますか?算数では答えは1つ,数学では答えは2つ,理科では答えは4つあります。あなたはいくつ答えられますか?学部の学生と大学院の院生にはよく語ってあげる内容です。私が知らないだけであって,実は答えはもっとあるのかもしれません。私が知っている限り,これだけなのです。答えは,文脈に依存します。
 計算できればよいのか,なぜそうなるのかを考えるようになることがよいのか,議論の分かれるところであり,永遠のテーマとなっています。「思い出ぽろぽろ」の映画で主人公が台所のテーブルに座って,「算数の勉強の時に,分数のわり算がなぜひっくり返してかけるのかを考えていてわからなくなった」と語る場面がありますが,分数のわり算も計算できれば良いのか,なぜそうなるのかを考えられるようになると良いのか,どちらが良いのかは難しい判断です。小学校の算数の授業では目標をどのように設定するのでしょうか。あなたはどちら派ですか?分数のわり算の問題は,わり算の本質を問うているものです。
 計算ができて,なぜそうなるのかも分かって,というのが理想です。しかし,現実的には,学校教育の授業で両者を求めて目標設定されている授業はあまり見ることはありません。見ることがあったとしても重み付けがなされていて,どちらかにポイントが置かれた指導がなされることが多いものです。テストや進学を考えると,前者が優先されるのでしょうが,20年,30年経ってみると,実は後者もとても大切であることが分かってきます。いや,後者の方が何より大切であると今は思えます。特に,理科の場合は,自然の事物・現象を対象としているだけあって,なぜそうなるのかを考えることが大切です。
 「1+1はいくつですか?」と聞かれたらあなたはどう答えますか?算数では答えは1つです。おそらく,「2です」という回答が返ってくることであろうと推測されます。そうであるなら,なぜ,1+1が2になるのですか?