理科の目的・目標は語られることがありますが,理科教育の目的・目標はなかなか語られることはありません。そもそも,理科と理科教育はどこが違うのかさえ語られることはありません。理科と科学もしかりです。語られることがありませんから,語ろうとしている側と語られるつまり聞く側との間に齟齬が生じます。語る側はそんなことは当たり前のことなんだから語るに及ばずと語りません。一方,聞く側は分からなくて当たり前なんですから,語ってくれないのだから分かるわけがないのでこちらで勝手に解釈しますとなるわけです。
学校現場において,『学び合い』の考え方を子どもたちに語ってあげた上で,その授業を一緒にやろうとした場合,ただ闇雲に課題を出してはい自分たちでやってごらんなさいと行って,先生は何も教えないんだから,と黙って見ているだけでは,先生は何をやっているんだという思いがこどもたちの募ってきても致し方ないでしょう。なぜ,『学び合い』の考え方が重要で大切なのかをいちばん最初に語ってあげて,やる側と受ける側の間に齟齬が生じないような努力をしなければならないのです。『学び合い』の考え方で,一番最初にしなければならないことはそのことです。『学び合い』の考え方を語ることです。『学び合い』の考え方を子どもたちと共有しないことには,一歩も先に進めません。
それが『学び合い』が考え方だと言われる所以です。