信濃の国からこんにちは

三崎隆です。私たちは『学び合い』(二重括弧の学び合い)の考え方を大切にしています。

活動に入る前に,がコツ

 目標を無事に提示し終わったら,次に子どもたちに示すのは,目標を全員が達成したかどうかをどうやって教師が確かめようとしているのか,です。

 それには,評価の方法と評価する時期(時刻)と評価規準の3つがあります。この3つを,目標を示した直後に,忘れずに子どもたち全員に示します。評価方法と評価時期と評価規準の3つを,分からない子が誰もいなくなるように示すことがコツです。繰り返しますが,この3つを示すのは,くれぐれも子どもたちが活動に入る前です。それが,活動に入る前の『学び合い』教師のテクニックです。

 示し忘れてしまって授業の途中で示したり授業の間中示さなかったりすることのないように気をつけましょう。途中で変更することも避けます。途中で変更されると,子どもたちは変更された時点からもう一度活動を最初からやり直さなければならなくなるからです。
 子どもたちにとって,
評価方法は,「どうやって評価されるのか」を知る情報です。
評価時期は,「いつ評価されるのか」を知る情報です。
評価規準は,「何をどれだけやればよいのか」を知る情報です。
 評価方法によって「どうやって評価されるのか」が分かりますから,その方法で力を発揮できるように,同じ方法で力だめしをしたり友だち同士で問題を作って出しあって練習したり等々を,自分で考えて行動できるようになります。

 評価時期によって「いつ評価されるのか」が分かりますから,時間配分の見通しが立ちます。どのくらいの時間をかけて調べたら良いのか,何分くらい経ったら答え合わせをしなければならないのか,残りどのくらいの時間で困っている人を助けに行ったら良いのか等々を,自分で考えて行動できるようになります。

 そして,評価規準によって「何をどれだけやればよいのか」が分かります。そのことで,何をどれだけやれば目標を達成できるのかを理解したり自分の目標の達成状況を自己評価したりできます。周りの友だちの目標の達成状況を相互評価して判断することもできます。子どもたちはいろいろと自分で考えて行動することができるようになります。

 『学び合い』は子どもたちが自分で自己評価できる授業ですから,評価規準があっても自己評価できないようなものならば致し方ありません。その場合,子どもたちが答え合わせできるようなものに作り替えるか,教師の期待する答えを1部用意して黒板に掲示しておくか,いずれかの方法を取る必要があります。活動に入る前に,評価方法,評価時期,評価規準ないしは教師の期待する答えを示すことが,子どもたちに対して自分で考え,判断し,行動を起こさせるきっかけを与え,子どもたちの主体的な学びを生起させるのです。

 それが『学び合い』の考え方です。