信濃の国からこんにちは

三崎隆です。私たちは『学び合い』(二重括弧の学び合い)の考え方を大切にしています。

自分ごと

 先日の教職大学院の院生の発表の中で,複数の院生のみなさんが自らの教育研究のテーマとして自分ごとにすることを挙げていたことが印象的です。さすがに現場ファーストの院生のみなさんであるなあと感心したところです。

 自分ごとにすることは重要で大切なことです。自分ごとにするということは,教育活動をその子にとって意味のあるものにすると言うことです。子どもたちだけではなく,それは我々にも当てはまります。

 よく言われることですが,我々の目は精巧にできていて,外界の自然の事物・現象を正確に網膜上に映し出します。視神経が脳に情報を送るために集中する1点を除いて,すべての網膜に映し出されます。しかし,網膜上に映し出されたからと言って,網膜上の映像をすべて意味のあるものとして脳が認識するかと言えばノーです。

 網膜上に映し出された映像のうち,脳は意味あるものだけを抽出してとらえますし,短期記憶装置の中に送り込みます。理論負荷性と呼ばれている現象です。冒頭の自分ごとも,子どもたちが毎日毎時間経験する,あるいは目の前で情報が提供される様々な事柄の中で,その子にとって意味あることだけが記録装置に送られます。脳は,意味を持つことだけを抽出する機能を持ち合わせているということにになります。

 つまり,いかにして子どもたちに対して,この教育活動が意味あることであるのかを知らしめる,換言すれば,子どもたちにとって目の前で展開する,自分が経験する教育活動をいかにして意味あるものにすることができるかが,キー・ポイントとなるのです。

 我が教職大学院の院生のみなさんは,学校現場で毎日行われる教育活動をいかにして子どもたちに自分ごととしてとらえてもらえるようにするかを推し進めています。